焦げ胆磐

線彫りの秋草に満月柄の34cm幅の6ツ足の角皿です。


信楽の赤土2に対して白土1に、鍋土の白土を15%加えた粘土で、たたら作りしました。

粘土全体に対して鍋土を10~15%加えると、緋色が出やすくなり、このところは気に入っています。

粘土がまだ生乾きのうちに、庭や散歩道に咲く、すすき、萩、藪蘭、紫式部、水引などを、針で線彫りして、充分に乾燥させ素焼きし、黄瀬戸釉薬を霧吹きで全体に施釉しながら、釉薬の濃淡で満月を表現してみました。

釉薬の濃淡のわずかな差が光沢の差になり、光の角度で、月が見え隠れする、不思議な効果を得ることができました。


黄瀬戸釉にはやはり、胆磐(たんぱん)がよく似合います。本物の胆磐は猛毒ですので、ここでは合成胆磐を使っていますが、またまた、胆磐の緑の発色はほとんど失われ、いつもの焦げ胆磐になってしまいました。1か月ぶりの本焼成でしたが、焦げ胆磐もまずまずの景色でした。久しぶりにお気に入りの角皿が焼きあがりました。