茶匙とスプーン

本焼成の火を入れている数日間は、バカになったみたいに何もできなくなります。絵付けから釉薬掛けそして窯詰めと、気の詰まる時間が長ければ長いほど、ぼーっとしている時間が、必要になってくるようです。

 

ほっとひと段落していつものようにまずは、後片付けです。

アトリエの中は絵具や釉薬でドロドロです。弁柄の下絵具や飴釉が好きですから、基本的には真赤な絵具や釉薬が、大量出血したみたいに、床や机のあちこちに飛び散っています。まずは雑巾がけで大掃除ですが、雑巾はすぐに真っ赤、ゆすいだバケツも真っ赤っかです。着ている洋服も真っ赤っかです。

あはははっ……。

 

そしていつもなら、お散歩や近隣のギャラリー散策や、お気に入りのお蕎麦屋さんやカフェに行ったりするのですが、今回はだいぶ前からたのまれていた、ほうじ茶や紅茶用の茶匙を嫌々作っています。嫌々半分で作り始めたものの、はじめてみれば楽しくなります。持つ手に馴染むような姿形を追うと、面白いことにあっという間に10数個が出来始めます。そして気が付けば、途中からティースプーンやチリレンゲまでもが、出来はじめています。

終わってみれば茶匙12本、スプーンやチリレンゲが40本の合計52本でした。なんでこんなに沢山作っちゃったんだろう……。