嫁ぎ先

今まで使っていたお窯の嫁ぎ先、嫁入り先の彫刻家の清水雄一氏の作品です。

 

山之郷のアトリエから車で30分ほどの距離に、清水氏の自宅とアトリエがあります。

北側の崖の斜面には、神が宿っていると思える、大きな白樫の木に守られるように庭が広がっています。北風が遮断できるであろうここが野焼きの現場だそうです。縄文人がやっていたあの野焼きと同じように、粘土で作った大きな作品を、ここで焼き上げているそうです。まるで縄文人のような、自然体の作家さんです。

 

お訪ねするたびに感じいるところ、それはいつも優しく快く迎えてくださるところでしょうか。ある時は庭の陽の当たるところに椅子を用意してくれて、ある時はストーブの火の近くで、お茶を準備して待っていてくれる……。

静かな話し方と、純朴で飄々とした風情と風貌は、作品の魅力と相まった、この人の魅力です。

 

写真は、冬枯れの清水家の庭の隅で、傾いた太陽に輝いていた高さ1.3mほどの近作です。巨大な鳥の口ばしでしょうか、ゴジラの爪でしょうか。野焼きの炎による赤や黄色や焦げ色のむらが、高い焼成温度では得られない、何とも言えない柔らかな雰囲気を醸し出しています。そして、ゆっくりとゆっくりと動きだしそうな気もしてきます。