直径23cmの織部の深鉢です。
何んと言っても織部、この緑色の釉薬に永遠に恋をしているようで、もう好きで好きで……。
今年もこの緑色に魔法をかけられたようになるのでしょう。
この釉薬の緑色を司るのは酸化銅なのですが、釉薬全体量に対してたったの数パーセント程度の配合が、ほんの少しでも多すぎても少なすぎても、この魅力的な緑色にならないのです。
何んと言っても織部釉の魅力は、この緑色が主役になったり脇役になったりと、憎らしいほどの気品と調和の美しさの中で、どんな粘土にもどんな場面にも、圧倒的な存在感を示してくれるところです。
信楽のブレンド土で全体に厚作りに、特に口周りはグラマラスに肉厚に成形しました。生乾き状態の時にスポンジで白化粧土を施し、針で掻き落とし柄を無作為に鉢全体に入れて、織部釉から透けて見える奥行き感を狙っています。素焼き後に飴釉と黄瀬戸釉をスポンジで重ね掛けし、ここに撥水剤を、その後織部釉を全体にたっぷりと掛けました。渋めの黄色に織部釉の緑が程よい濃度で、存在感のある鉢になりました。
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