飴釉と艶黒釉と柚子肌天目釉の黒のカップです。
信楽のブレンド土で成形したカップを素焼きした後に、通常の約2倍に希釈した飴釉にさっとくぐらせ、濡れたスポンジと手指で、飴釉薬を拭き取ったり描き足したりしながら、絵を描いていた昔を思い出しながら、スケッチブックにガッシュで抽象画を描くような気持ちで、気ままにサクサク描いてゆきます。悪い癖です、程よいところで止められません、描き始めると面白くて描き続けてしまいます。途中で気が付き、艶黒釉を軽く霧吹き掛けして、バランスを整えてゆきます。この飴釉と艶黒釉の2種類の釉薬の濃淡の表情だけでは、サラッと仕上がってしまっていて、パンチ力のないどこかもの足りないものになってしまいます。持ち手を艶黒釉で仕上げたところで、最後に柚子肌天目釉の雰囲気の違う釉薬を、程よいポイントにとろっと流し掛けしたり、ぽたぽたたらして全体の景色の中のアクセントにします。表情の違う黒い3つの釉薬の組み合わせで、黒い器の中に黒い色の奥行きみたいなものを、感じてもらえたらと考えています。
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