Biography
「3つのP」
このカトリック信者の方が、その昔イタリア人の神父様から、教えていただいた言葉だそうです。
ある時、「PICCOLO PACE PIANO」この3つのイタリア語をメールで送ってきてくださいました。
PICCOLO:ささやかな PACE:平安を PIANO :少しずつ、とでも訳せばいいのでしょうか。
ささやかで小さな平安を少しずつ願うことで、得られたささやかな平安に、
感謝できる心を持つことの大切さを、教えてくれています。
「心を込めて丁寧に生きる」ことと、「3つのP」は、
僕の人生のそして作陶をする上でのテーマになってきています。
腹立たしいことや悲しみに直面した時も、嫉妬や妬みで気持ちが荒んだ時も、
「PICCOLO PACE PIANO」と軽く口ずさみます。
心の奥の一点に、ささやかな平安が少しずつ近づいて来るイメージを持ちながら……。
「生きることを楽しみ味わう」
「心を込めて丁寧に生きる」と「3つのP」と山之郷の紫陽花の庭と織部の緑釉とが、さまざまに
絡み合いながら、僕の体の中で化学反応を起こしつつあります。 柔らかな粘土に触れていると、心が静かになってゆきます。小さな頃にやった泥んこ遊びのような、懐かしさと気持ちよさが
あります。
庭の草や木や花や虫や鳥たちの美しさを、四季折々の移り変わりとときめきを、この一碗に
描きとめたいとおもったりしています。
庭の奥の土手の土を少々信楽の土に混ぜて、気持ちは山之郷の焼き物の気分でいます。
この気持ちのいい遊びを、いつまで続けていられるのでしょうか。
この山之郷のアトリエで使う食器は、全てここで焼かれたものです。
湯呑からコーヒーカップ、飯碗、取り皿、小鉢、そして昼間の濡れ縁でいただくお薄の茶碗も……。
多少の使い勝手の悪さも味わいです。粘土をこね、好きな絵を描いて焼きあがった器で、飲んで食べて美味を楽しむ。
今日のささやかな平安が少しずつ、心に満ちてきます。
丁寧にいきることとは、季節の移ろいを愛で、与えられた命に感謝をし、人生をゆるりと味わい楽しむことかと……。